さらに全体を見る―ローカリゼーション


エコビレッジやトランジションタウンなどが包括している領域をはじめ、
各地で既にある、持続可能な未来のための様々な動きの方向の一つとして、ローカリゼーションがあります。

上図:『ローカリゼーションの胎動と私たちの実践』(懐かしい未来ネットワーク)より

ローカリゼーション:

 「懐かしい未来」著者の、スウェーデンの言語学者・環境活動家ヘレナ・ノーバーグ=ホッジが主に提唱している。

 経済のあり方をグローバル化の方向ではなく、ローカル化の方向で再編するプロセスのこと。ローカル化とは、地域独自の伝統智を活かしながら社会経済全体を地産地消化すること、できるだけ地域・コミュニティ内で自給・自立的な循環社会経済を構築することである。それはあらゆる領域に及ぶ。食と農、住、衣、エネルギーといった基本的ニーズだけでなく、お金や教育、医療などをも含み込む。それは人と人とのつながり、人と自然のつながり、伝統文化やその土地やコミュニティとのつながり、ひいてはそれらの連続性に位置づく内なる自分とのつながりを取り戻すことである。

 具体的には、国際的な政策転換と民間レベルの取り組みがある。
 まず国際的な政策としては、貿易や金融の規制を再強化し、利潤の最大化を求めて社会・文化・環境を破壊する行為を止める。税制・補助金のあり方を転換し、エネルギーや資源、輸送に税を投入し国際貿易インフラを優遇するのではなく、それらにまっとうなお金がかかるようにすること。地域経済の循環を促すよう地域のものに対して優遇措置をとること。実体を離れた架空のマネー経済から、通貨をコントロールして実体主義的経済に立ち返ること。経済成長、GDP至上主義という幻想から脱却し、数値の限界を認識した上で、GNH(国民総幸福)のような別の指標を参考にすること。
 民間レベルでは、まず基本である食と農を地域に、人々の生に取り戻すこと。農薬や化学肥料を必要とする大規模・集約的モノカルチャーから伝統的な農法を生かした小規模・多種多品種混合栽培へ。ローカルフード運動、パーマカルチャー、コミュニティ農園やファーマーズ・マーケットなど。コモンズ、地域資源の持続可能な利用。お金の面では、地域に根ざした金融、地域での回転資金の創出、場合によっては地域通貨。エネルギーの自給では、風土に合った分散型の再生可能エネルギーの取り組み。技術面では適正技術、非電化製品など。住居は地域のもの、身近な自然のものを利用。またトランジション・タウンやエコビレッジ、コウハウジングといった取り組み。文化の再構築、誰もが参加できる文化を取り戻すこと。教育のあり方の転換では、西洋近代教育を見直し、地域のことや伝統文化、生きる智恵を取り入れ、競争より共生の学びへ。医療では伝統医療の復興。

 その他にも様々な取り組みがあるが、目標は、人と人とのつながりを再構築し、相互扶助を再び強めること。また同様に、自然や生きた世界との深いつながりを回復していくこと。
(それぞれの地域文化によって取り組みの内容は異なる)

 

 懐かしい未来ネットワークHP

懐かしい未来 ―ラダックから学ぶ―

 後半

 

地域から始まる未来 ~グローバル経済を超えて~ (懐かしい未来の付録映像)

 

 後半 

 

 

伝統文化・地域と「エコビレッジ」の融合―忘れてはならない視点

日本など諸国でのエコビレッジを考えるにあたって、先代から営々と受け継がれてきた伝統の智恵をつなぎとめ再興すること、既存の集落の再生と連関させていくことは非常に重要です。
ほんの少し前の日本や世界の村々は、すべて「エコビレッジ」そのものだったのです。

まさにその豊かな文化、風土に即した持続的な智恵、地域コミュニティが、近代以降のシステムによってほぼ自動的に消滅しつつあります。ラダックで起こったことは日本のいつか来た道、日本の姿そのものではないでしょうか。
エコビレッジの概念は西洋を中心に興った取り組みですが、
私たちの足元を見つめ、地域の伝統・地元力を再興しながら、良いところを融合させていくことが必要なのではないでしょうか。

それが実現すれば、新たな地域再生の可能性が広がるでしょう。

参考文献

『農村文化運動No.192 都市が「村の暮らし」に学ぶ時代-世界金融危機と「ローカリゼーション」への転換』
『農村文化運動No.188 ローカリゼーションの胎動-食と農・エネルギー・金融・教育・医療-』
『懐かしい未来へ ヒマラヤ・ラダックに学ぶ持続可能な社会づくり』

『ローカリゼーションの胎動と私たちの実践』

     (以上すべて、懐かしい未来ネットワーク編集)

 

いよいよローカルの時代~ヘレナさんの「幸せの経済学」


ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、辻信一


(大月書店)

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